合同制作展 「転回する社会とデザインの展望」
デザインを育てるプロジェクト2021
空間演出デザイン学科
尊厳のためのデザインリサーチプロジェクト
”近づいてみれば誰一人まともな人はいない”
現代は個人が尊重され、豊かに生きていくことができる成熟した社会が求められています。
さまざまな課題を抱える現代において、高齢者、こども、外国人、子育て世代の人、セクシャリティ、その他、人には言えない個人的な問題を抱えている多様な人たちがいます。
そこには、その人たち自身にしか見えない境界が存在しているように思います。
1978年、イタリアでは次々に精神病院が閉鎖されました。
その時の合言葉は「近づいてみれば誰一人まともな人はいない」でした。
このプロジェクトでは、学生がターゲットとなる人を選び、その人が自分らしくポジティブに生活できるためのものやしくみを様々な調査とデザインを通して提案します。
学生作品
Leave a record
淺野快斗
過去に遡れば遡るほど情報は少ない。
来世に受け継がれる情報はいくつあるだろうか。
受け継がれることなく消えてしまう情報もたくさんあるだろう。
自分にとって残したい物がこの先残っているとは限らない。
寿命がある物を少しでも長く残せるようにすることはできる。
私達が生きている瞬間だけでなく未来により多くの情報を残せるように。
0.6mm
小口桂奈
たったの0.6mm。
僅かに紙から浮き出た突起で文字を読む人がいる。
今までわたしには関係ないと思っていた「点字」と向き合い、更なる可能性を感じた。
単なる文字だけの説明ではなく、デザインとリンクした点字のあり方を提案したい。
見える人と見えない人が共感できる、
同じものを同じように感じられる、
そんな0.6mmであってほしい。
肌と布
南野いこい
肌は人の身体全体をつつむ臓器です。私の祖母のながい時間身体をまもってきた肌はたくましく、美しい。
傷跡は彼女が自分をまもったしるし、しわは表情の習慣やくせから作られる個性、質感や色の変化も彼女だけのものだと思うととても愛おしく感じます。
授業でのリサーチの中で祖母の洋服に関わる人生を知り、肌の身体をまもることや光や時間で変化していくことは洋服や布と共通する部分があると感じ、この作品を作りました。
made from grapes
疋田奈々帆
1本の木からぶどうを収穫し、食べる、発酵させる、飲む、使う、
そしてまた木を育てる、このサイクルを数十年繰り返した。
このワインはつくった場所、環境や人がすべてみえる。
現在、ぶどうを含む食料や食材はスーパーマーケットなど
あらゆる場所で簡単に安く手に入る。
今口にしているものはどこで誰によって育てられ、つくられたものなのだろう。
木を繋ぐ蔓を用いてみえるものづくり。