本展覧会は、デザイン5学科で推進している「デザインを育てる」プロジェクトの一環として、2020年度に行ったデザイン系学科授業の合同成果発表として実施されています。
「デザインを育てる」とは、21世紀ポスト工業化時代の中で「いかにつくるのか?」
ということを問うのではなく、これからの社会に必要なこととは何かを問いなおす。
新たな価値を発見し仕組みとして創造していくこと。その行為そのものがデザインの本質である。」と位置付け、デザインの新たなあり方を探究しようという試みです。
「デザインを育てる」を始めたころより、社会の情勢はさらに大きく変化しています。地球環境の悪化はまったなしであり、消費と廃棄の問題やそれを変えるサスティナビリティはどんなことにでも必須の条件となってきました。そして、コロナ感染症のように人類を脅かすような危機も日常のものとなり、そういったことを機に、地球を脅かさず自然の中で大きく循環していくものづくりをしていくことが実践されるようになってきました。
また、ITの世界では、DXのように、デジタル空間がビジネスや生活上で、普通の道具のひとつとして縦横無尽にはりめぐらされつつあります。それが効率化だけでなく様々な場所での働き方などを支援できるような社会的道具となるよう展望されていかねばなりません。
さらに、Black Lives Matterに代表されるように、人権に関する問題も、特別な人たちの話ではなく、わたしたちの日常の中で常に考えられねばならないこととなってきました。
そんな、転回(大きな変化)の中で、デザインの果たす役割は何か、あらためて、ここから考えて行こうという意味を託したタイトルです。
各学科では、専門性を超えて、新しい時代に向けて「これからの社会とは、そのためのデザインとは」を問いながら、社会的なアプローチを持った専門的テーマを掲げて演習授業を行い、その成果としてこの展覧会で作品を発表しています。
さらなる大きな転回への序章として、サスティナブル、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)、ローカリティ、コミュニティ、コロナ下のデジタルコミュニケーションを題材としながら、いま、そしてこれからの社会におけるデザインでなすべきことを探求しました。
新しい問いに対する学生たちの真摯な取り組みをどうぞご高覧ください。
デザイン系合同展教員一同
合同講評会の考察・感想
違う学科の活動を知る事が出来、とても良い刺激を受けられました。テーマのリサーチからアウトプットまでどれも大切ですが、本質を俯瞰して見ることはもっと大切なのだとを学びました。特にキャラクターデザイン学科の、お客様の要望や理想を叶える熱い想いに感動しました。「デザインとは人の思いを形にするための方法」という言葉をこれからも忘れずに制作を続けたいと思います。
情報デザイン学科 M・M
情報デザインのグループ展はリサーチの徹底ぶりやフィールドワークが詳細にされていてとても実験的な展示だったと思います。アウトプットのプロダクトのクオリティーも均等に高いものになっていたのではないかなと思います。他学科の先生方から講評していただける機会はなかなかないのでとても嬉しかったです。同じく他学科の発表を見る機会もなかなかないので、発表の仕方やパワーポイントなどにおいてとても勉強になりました。
空間演出デザイン学科 N・R
デザインへの考え方に学科ごとの特色が見えたことが非常に興味深かったです。また、自分の学科とは違う切り口のコメントを先生方から頂けて、非常に参考になりました。普段「キャラデらしさ」を意識する機会などは少なかったため、新鮮な気持ちで講評を聞かせていただきました。とても有意義な講評会だと感じました。
キャラクターデザイン学科 K・M
合同講評会に参加してみて、様々な学科と講評会をすることが初めてだったのですごく新鮮でした。またどの学科もプレゼンテーションが上手で、私も見習いたいと思いました。プレゼンテーションのコツを教えてもらいたいです。また、身近なことからリサーチし、それを形にしてみることができていて面白いなと思いました。改めてリサーチの大切さを知り、合同講評会に参加することができてよかったです。
環境デザイン学科 T・K
空間デザイン学科の課題が印象的でした。家族や恩師など、身近な人の「知らない部分」に視点を向けたリサーチ方法によって生まれた作品はどれも独特で新鮮でした。
ヒアリングから知った面白い点を、どのような方法で伝えるかという思考を今後の制作で参考にしたいです。また、環境デザイン学科のひとつのコンセプトから6つの形を制作する課題では、規定された面積でも色々な可能性が生まれることに驚きました。
情報デザイン学科 K・M
どの学科もリーサーチがよくなされていて、どのようにその作品ができてきたのか知ることができ、とても興味深い展示会でした。特にキャラクターデザイン学科のキャラちぇんは、初め、zoomの授業でみんながキャラクターで参加したい、という事から始まったというのが面白いと思いました。日常の色々なところから新しいデザインは生まれるのだなと感じました。
空間演出デザイン学科 I・E
合同講評会に参加し、今までとは違った刺激を受けました。そもそも、私自身あまり他の学科との交流がなかったため、他学科がどのような事を学んでいるかまったく把握していなかったのでとても新鮮でした。特に私の中で印象的だったのが、環デの作品でした。展示中に少し拝見していたのですが最初は理想の家を作っているのかと思っていたのですが、説明を聞いて決められた条件にそって作っていることを知り、また見え方が変わり感銘を受けました。今回他学科の作品を含め講評会で新しい事を知る事が出来てとても良い機会だったとおもいます。
情報デザイン学科 H・Y
各学科の考え方、見方が出ていた課題だなと感じました。どの学科の課題でも、4学科が合同でデザインできそうで、「皆でなにかをつくる」ことにより興味を持ちました。情デの魅せ方、環デの圧倒的な設計力、キャラデのスキルの高さ、合わせたらなにかが起こりそうです…。
空間演出デザイン学科 K・R
空Dのみなさんのリサーチのテーマが自分のバックグラウンドに大きく関わる、表現する上では切り札として使うような要素が多く見受けられたのでしっかり身構えながら鑑賞できたというか、ここまで個人的なデザインを全力でするっていう姿勢もよかったです。
情報デザイン学科 U・H
単純に良い刺激になったなと感じました。専門科目同士のプレゼンではなく、専門外の学科の皆さんに発表・プレゼンすることは、実際の仕事としての状況にも似ているし、他学科メンバーがいるという点を踏まえて仲間や自分のプレゼンを聞いていると、「ここが分かりづらいな」という点や、別視点でのリサーチ法が、自分の学科のリサーチに取り込むともっと良いものになるのかな、というような感想を持った。
環境デザイン学科 T・R
概要
デザイン系学科合同展
「転回する社会とデザインの展望」
デザインを育てるプロジェクト2021
情報デザイン学科
空間演出デザイン学科
環境デザイン学科
キャラクターデザイン学科
会期:
2021年1月21日(木)-28日(木)